まつやま書房TOPページ>Web連載TOPページ>流辺硫短編小説集②「塔」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
11/13(2010.10.20更新) |
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塔写真撮影者:らら(photost.jp) |
そうだよなぁ……。何が「そう」なのだろう。それは分からない。でもおそらく、それはなにか自分を見つめている、あるいは決心している、気持ちからわき出た言葉なのだろう、と貴夫は思った。 なにも、周囲に意味の通じるものだけが言葉ではない。むしろ心の叫びであればあるほど、意味が不明というものではないだろうか。 達矢はじっと目を前方に向けている。きっとあの塔を見て、何かが変わった。何かが芽生えた。貴夫はそう確信を持った。 貴夫は長く達矢が見れるよう、アクセルを少し弱める。「そうだよな、達矢」と、声にならない小さな呟きとともに……。 塔は、父親と息子の乗った乗用車を守るかのように、そびえ立っていた。 |
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了 |
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「塔」は今回で終了です。ここまでお読みいただきありがとうございました。 流辺硫氏の次回作は近日更新予定です。 |
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