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武蔵武士の軌跡 14氏の動向 続編
元中学校長 吉見一族中心に紹介
鎌倉幕府樹立の担い手となり、武蔵の国・埼玉から全国に広がった武蔵武士の軌跡を描く「武蔵武士(続)」がまつやま書房(東松山市)から出版された。著者は東京都武蔵村山市在住の元中学校長、成迫政則さん(78)=写真。平成14、16年に刊行した「武蔵武士」(上下巻)の続刊で、源頼朝の弟、範頼の子孫、吉見氏をはじめ、14氏の動向を丹念に追った。
熊谷氏や畠山氏ら武蔵武士23氏を紹介した上下巻に対し、今回は吉見町を本拠とした吉見氏に紙面を多く割いた。範頼最期の地を訪ね、鳥取や静岡など全国に6つあるとされる墓に参り、吉見一族から出た能登吉見氏(石川県)、石見吉見氏(島根県)の現地に赴き、史料を渉猟。史実に加え、伝説や伝承も織り交ぜ、一族の動向を優しいまなざしで紹介する。
また、島津氏が頼朝の末裔とする「島津氏正統系図」を記し、深谷市から出た本田氏が薩摩・島津政権樹立に活躍した姿を詳述している。
ほかに県西部の越生氏(越生町)、浅羽氏(坂戸市)、毛呂氏(毛呂山町)、県央の安達氏(鴻巣市周辺)、県北部の別府氏、箱田氏(いずれも熊谷市)などを紹介。
さらに、武蔵武士の源流ともいうべき清和源氏の祖、源経基の遺跡を鴻巣市などに訪ねている。
成迫さんは「30年以上前、開発優先で館跡が壊され、記録を残さないといけないという危機感から走り回ってきた。現地を訪ね、武蔵武士の子孫と出会いがあり、ここまできた。鎌倉武士が武蔵の国から全国にどう出ていったのか。総合学習の手引として利用してもらえれば」と話している。
A5判、336ページ。1785円(税込み)。
編注)地名、役職などは新聞掲載当時のものです。現在は変更されている場合もあります。 |
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