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武蔵武士団 足跡を訪ねる 元中学校長 新たに続刊
「郷土の英雄」群像記録
平安末期以降、現在の埼玉から東京にまたがる武蔵国を拠点に台頭した武士団の足跡を追った「郷土の英雄 武蔵武士」続刊(まつやま書房)を、東京都武蔵村山市在住の元中学校長、成迫政則さんが出版した。04年までに刊行した上下巻で、掲載しきれなかった14氏の群像を記録した。
県西・県北の氏族中心に
鎌倉幕府成立の担い手となり、やがて地頭として全国各地で「一所懸命」に働いた武蔵武士。成迫さんは社会科教師だった80年ごろ、県内の農家の庭先で、由緒不明の五輪塔(墓標)を見つけた。大分県の生家にもこけむした五輪塔の一部があり、家族が大事にしていたのを思い出し、無名の武士たちの存在に興味をかき立てられた。
休日を利用し、地名辞典などを手がかりに、全国へ散った武士たちの墓や氏神の神社などを丹念に調べた。これまでに数十氏の分布を追い、東北から九州まで全国30ヵ所以上を訪ね歩いたという。
02、04年にそれぞれ編んだ上下巻では、「平家物語」で若武者・平敦盛を討ち取った話で有名な熊谷直実の一族(熊谷市)や比企氏(東松山市、川島町)、河越氏(川越市)など権力に翻弄された「悲劇の武将」23氏の興亡を追った。
今回の続刊では、吉見氏(吉見町)や浅羽氏(坂戸市)、毛呂氏(毛呂山町)など県西、県北部を拠点とした氏族を中心に紹介している。
吉見氏は源頼朝の異母弟、源範頼を祖に能登(石川県)や石見(島根県)へ移って勢力を振るった一族。成迫さんは各地に点在する「範頼の墓」を訪ねるなど、地元の伝説も丁寧に取材し、吉見氏の盛衰に迫った。
「開発によって史跡は年々消えつつあり、地元の英雄が忘れられていくのはしのびない。特に子どもや若い世代に彼らの生き様を知ってほしい」と成迫さん。
「武蔵武士」は上下、続刊とも各1700円(税別)。県内の主な書店で販売している。
編注)地名、役職などは新聞掲載当時のものです。現在は変更されている場合もあります。 |
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