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『郷土の英雄 武蔵武士(上・下)』成迫政則 著
2004年7月21日付・産経新聞埼玉版
◆記事文章
武蔵武士紹介本を出版 埼玉で活躍の騎馬軍団
よみがえる鎌倉時代の英雄群像 20年間、全国取材の集大成


 畠山重忠や斎藤実盛など、鎌倉時代を中心に全国で活躍した県内などの「武蔵武士」十三氏を紹介した「郷土の英雄 武蔵武士」(まつやま書房刊)が出版された。二十年以上にわたり全国各地で取材を続けた著者の成迫政則さん(七五)は「騎馬軍団で知られる剛勇さと、討ち取った敵を手厚く葬る情け深さを持つ武蔵武士の姿を知ってもらいたい」と話している。
 成迫さんは、都内の中学教諭だった二十年ほど前、各地の古武士の館跡などが開発によって消えていくことに危機感を覚え、鎌倉時代の武士について取材を開始。特に、埼玉県内などで活躍した武蔵武士が執権北条氏に追われて地方に定着し、土地の有力者になっていく過程に興味を持ち、一昨年に一冊の本としてまとめた。今回出版するのは、武将の活躍などを紹介した続編。
 武蔵武士に関しては資料が少ないうえ、地方に散逸していることも多く、「源平盛衰記」や「吾妻鏡」などの歴史書に、一行だけ残されているような記述を手がかりに現地へ乗り込んだ。“空振り”に終わることも多かったが、粘り強い取材で多くの子孫らから話を聞き出した。今回まとめた十三氏については、東北から九州まで全国を駆け回ったという。
 「武蔵武士の鑑」とされている畠山重忠は、川本町と嵐山町が本拠地。源頼朝に従って有力御家人となるが、後に北条氏と対立し、戦死するまでの奮闘を描く。また、平安末期の武将、斎藤実盛(本拠地・妻沼町)は、手助けをしてきた木曽義仲の配下武将に討たれた。比企郡で勢力を保った比企氏は、源頼朝を二十年にわたって支えたが、北条氏に謀殺されるなど、「悲劇の武将・武蔵武士」の群像を書いた一冊となった。
 A5版、三百二十六ページ。定価千七百八十五円(税込み)。

写真見出し
「郷土の英雄 武蔵武士」の著者、成迫政則さん。「剛勇さと情の厚さをあわせ持つ武蔵武士を知ってほしい」と語る

編注)地名、役職などは新聞掲載当時のものです。現在は変更されている場合もあります。
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