まつやま書房TOPページ>Web連載TOPページ>人生ぶらぶら散策記(沖田数馬)第十八話 | ||
(2011.6.13更新) |
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足裏の痛み 起床時に立ち上がると足裏に激痛がはしるようになった。昼間は何ともないので「そのうち治まるだろう」と放置していても、治らない。介護施設に就職が決まった矢先に、ある新聞紙にその症状とほとんど当てはまる記事を発見。すぐに整形外科へ行った。電気あんかの火傷でお世話になったところだ。 診断結果は「足底腱膜炎」。かかとの骨から5本の指に繊維が伸びているのだが、その付着部分(かかとの骨・踵骨)に炎症が起きているらしい。レントゲンを撮影したが骨には異常がなく、安心したが、ともかく治療開始である。慢性化してしまっているとのことで足に注射を打たれ「飲み薬とシップを出しておきます。それでしばらく様子を見て、駄目だったら装具を考えましょう」とのことだ。装具とは大げさなものではなく、足にかかる衝撃をやわらげるものらしい。 新聞の特集によれば、加齢や立ち仕事が原因とのことだが、加齢していることは間違いないが、立ち仕事で足が参ってしまうほどのことは心当たりがない。あと一つ考えられる原因は「肥満」だ。ここ2~3年で急激に太ってしまった。それで体重が足に負担を与えているのだろう。 再診でまた整形外科へ行った。今度は倍量の注射が待っていて「痛いです、先生!」と言いつつも無事に終わった。先生が注射を抜いた瞬間、血がほとばしったのにちょと怯えたが、先生は慌てることなく、処置していく。ついに足底をサポートするような装具が装着された。 私の周囲の評判は良くないのだが、この整形外科を気に入っている。 院長先生が処置してくださり、せっかくなのでシップ薬を貼っていただいている間に健康の秘訣を聞いてみることした。 「先生はいつもお元気でいらっしゃいますけど、先生の健康の秘訣ってございますか?」 「そうだいね~ いつも忙しくしていることかな。ピンピンコロリ“ピンコロ”が一番だね」 「先生に“コロリ”されちゃ、私が困りますよ、もう」 「あはは。よし終わった。お大事に」 早朝に行くと待合室は大勢の高齢者が先を争うように待っていて世間話をしているが、夕方に行ったらことのほか静かで、やってくるのはジャージ姿の中高校生だ。その姿に過去の私がかぶった。小中学校の梅雨時になると何かしら怪我をして整形外科に通い、体育の見学をしいていた覚えがある。通信簿には「評価ができませんでした」というコメントがあったのが、いまだに記憶に残っている。大学時代からは怪我をしなくなったが、いつか前の電気あんかの大火傷のように、また気をつけなければならなくなってきたようだ。 |
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続く | ||
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