まつやま書房TOPページ>Web連載TOPページ>人生ぶらぶら散策記(沖田数馬)第二話 | ||
(2010.12.20更新) |
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隣のおばあちゃん いつも私のことを怪訝そうに見る隣のおばあちゃんだが、挨拶をすると「~はどうだいね?」と秩父弁を交えて話しかけてくれる。比較的若い方はちょっとした世間話でもして終わるのだが、このおばあちゃんだけはどこで会話を打ち切ったらいいか分からない。しかも買い物袋をぶらさげて30分経過… 数日間、実家へ戻ったときだ。当然雨戸を閉めていったのだが、帰ってくるなりつかまってしまい、「雨戸閉めっぱなしだと、湿気でカビ生えるよ」忠告されてしまった。 「実家へ戻ったので閉めていったんですが…」 「梅雨時だからね。風通し良くしておかないと」 除湿機があるんですが… 余計なお世話だが、逆に言えばよく見ている証拠だ。 「電球がつけっぱなしのときがあるけど、あれは何だい?」 「電気の消し忘れだと思います」 「電気がもったいない…」 これはちょっとした時間に留守をしたときだ。都会ではなかったことだ。防犯には役立っているかもしれない。 それにしても、市からの広報やゴミのカレンダーがやってこない。神奈川にいたころは新聞に折り込まれていたので、何でやってこないのか市役所に聞いてみた。 「町内会を通じて配っていますが」 で、広報を配る途中なのか、それを手にしているおばあちゃんを発見。 「その広報、うちに来ないんですが…」 「あんたは町内会費払っていないから」 そんなことは聞いていないぞ。しかも市で無料配布しているものをなぜ町内会費を払わなければならないのだ! そういえば、新聞の集金スタッフからこんな話も聞いた。 「何度か集金にお伺いしてお留守のようで… となりにおばあちゃんが居るでしょ。その方が、『あの人は何やっているんだかさっぱりわからない』って言っていたよ」 と、教えてくれた。そのおばあちゃんには「所沢まで介護の学校に行ってます」って言ってあるのに…。 「隣組の人はみんないい人だよ」と言って、一緒に挨拶にまわってくれたおばあちゃん。悪くない人だとは思うのですが…。 おいら、こんな町はいやだ。 |
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続く | ||
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